トップページ 新着情報 外交部報道官談話 総領事館ご案内 主な取り組み 査証と領事 お知らせ
歴史的岐路 未来への方向 ——律桂軍総領事が「中日平和友好条約締結45周年を祝う九州中日友好大会」における記念講演
2023-05-29 14:58

尊敬するご来賓の皆様、友人の皆様

昨年私達双方は、中日国交正常化50周年を共に祝い、本日、またここで盛大に中日平和友好条約締結45周年を一緒に祝います。中日双方、九州各県日中友好協会、友好団体の中日友好事業への強い責任感と使命感が示されています。中国駐福岡総領事館を代表し、ご来賓の皆様、ご友人の皆様に熱烈歓迎の意を表します。

今日は「歴史の岐路、未来への方向」というテーマで講演をさせていただきます。

人類社会は未曾有の困難に直面し、世界は歴史的岐路に立たされています。各国は、これからどこへ向かうべきかを考え、選択しています。

昨年10月、中国共産党第20回全国代表大会が成功裏に開催され、現在と将来の中国の大政方針と発展の青写真が打ち出されました。中国は、平和的発展、開放的発展、ウィンウィンの発展を堅持します。中国式現代化をもって中華民族の偉大な復興を全面的に推進し、改革開放を揺るぎなく推し進め、開放型世界経済の構築を促進していきます。また中国は引き続き、独立自主の平和外交政策を貫き、国連を中心とする国際体制と、国際法に基づく国際秩序を守り、人類運命共同体の構築に努めます。

人類運命共同体の構築を進めるため、習近平主席は「グローバル発展イニシアティブ」を打ち出しました。発展本位を主張し、団結、平等、均衡、包括的なグローバル・パートナーシップの構築を提唱しています。中国は、共に話し合い、共に建設し、共に分かち合うという理念を持ち、「一帯一路」建設を深く推し進め、沿線国にチャンスと繁栄をもたらしています。また、中国は160以上の国々に開発援助を提供し、南北格差と発展の立ち遅れの解消に尽力し、現代化を追求する国々を支援しています。

人類運命共同体の構築を進めるため、習近平主席は「グローバル安全イニシアティブ」を打ち出しました。団結とウィンウィンの精神を唱え、共同、総合、協力的で持続可能な安全観を持って、恒久平和の実現を追求します。先般、中国の仲介により、サウジアラビアとイランの歴史的な和解を実現しました。ウクライナ危機をめぐって、常に対話による平和と政治的解決のために働きかけています。朝鮮半島やアフガニスタンなどのホットイシューでも、中国が弛まぬ外交的仲介をしています。テロリズム、気候変動、サイバーセキュリティ、バイオセキュリティなど、非伝統的な安全保障の課題において、中国は全力で建設的な役割を果たしています。

人類運命共同体の構築を進めるため、習近平主席は「グローバル文明イニシアティブ」を打ち出しました。文明の多様性を尊重し、異なる文明の間の交流、学び合い、包摂を提唱しています。文明とは色とりどりなもので、決して上下や優劣はなく、ましてや一色に染まるべきではありません。価値観やイデオロギーの対立を煽り立て、自国の制度を他の国に押し付けることこそ、今日の世界における様々な紛争や混乱の禍根(かこん)であることは、多くの事実で示されています。

世界は地球村で、人類は運命共同体です。コロナ禍3年間、国際社会は風雨同舟(ふううどうしゅう)で乗り切り、中日両国はお互いに見守り合い、助け合う中、人類運命共同体の意識がより多くの人々の心に染み込んでいます。国際社会の重要な一員として、中日が人類運命共同体構築のパートナーになっていくことを心から願っております。

友人の皆さん

中日関係は、今かつてないほど複雑な状況に直面し、歴史的な岐路に立たされています。このような重大な時期に、世界大勢を慎重に考え、正しい決断を下すべきです。

45年前、中日平和友好条約が締結されました。これは中日両国の歴史において、最初で唯一の平和友好条約です。鄧小平先生は、条約の締結が、我々の予想を超える深い意義を持つかもしれないと述べました。福田赳夫当時の首相は、「共同声明でつり橋ができた。条約調印で鉄の橋になった」と仰いました。この条約は、歴史的な視点と先見性をもって、両国間、地域、世界という3つのレベルで中日関係の政治的基礎と法的規範を確立しました。

第一に、条約は、歴史や台湾などの重要な問題を善処する中日共同声明の諸原則を法的な形で確認し、中日両国の平和、友好、協力の方向性を明らかにしました。

第二に、条約は、中国と日本が平和共存の五原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させ、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇(いかく)に訴えないことを確認しました。

第三に、条約は、いずれの国も、アジア・太平洋地域においても、又は他のいずれの地域においても、覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明しました。

以上の内容は、条約が中日関係の健全で安定した発展のための礎であることを示しています。細心に維持し厳格に守らなければなりません。

条約が締結されて以来、中日友好協力関係は、実り多い成果を上げ、両国民に重要な利益をもたらしているだけではなく、世界の平和、安定、繁栄にも寄与しています。本日、私たちは両国の先輩の指導者と政治家、及び故松本治一郎先生、松本英一先生、松本龍先生ら、生涯にわたって中日友好のために尽力された方々の歴史的業績を深く偲び、ご在席の皆様と各界の有識者の皆様がなされた重要な貢献に対し、心から感謝申し上げます。 

条約締結から45周年を迎える今、中日関係を考え、展望するにあたり、少なくとも3つの大きな流れを捉える必要があるのではないかと考えています。

1点目は、中国式の現代化と中華民族の偉大な復興のプロセスが止められない所にきているということです。新中国建国以来、特に改革開放以来、中国共産党の強いリーターシップのもと、中国は先進国が何世紀かけて歩んだ工業化の道のりを、数十年で駆け抜けて、経済の急速な発展と社会の長期的な安定という2大奇跡を成し遂げました。新時代に入ってから、中国の国内総生産は10年間で2倍以上になり、2021年の中国共産党創立100周年に、ややゆとりのある社会「小康社会」を全面的に築きあげました。2035年までに社会主義現代化を基本的に実現し、今世紀半ばごろ新中国建国100周年までに、社会主義現代化強国の建設を全面的に完成させます。この目標の実現に向けて、中国には卓越した制度的優位性、強力な物質的基盤、十分な自信と能力があります。

2点目は、中国の現代化建設が、日本を含む世界各国に共同発展の重要なチャンスをもたらすということです。国交正常化以来の中日関係の歩み、中国の外交政策・対日政策に示されているように、中国が日本のいわゆる「これまでにない最大の戦略的挑戦」ではなく、脅威でもありません。新たな道のりにおいても、中国は日本に対して、常に善隣友好、協力ウィンウィンを主張していきます。日本をライバルにしたことはなく、なおさら脅威ひいて敵扱いする意思はありません。

3点目は、米国による対中封じ込め政策は目的を達せられることなく、一部の西側の国が世界情勢を操る時代はもはや過去のものとなりました。中国は旧ソ連ではなく、中国共産党はソ連共産党でもありません。近年、米国が同盟国と連携して、制裁と圧力を繰り広げ、強引に中国を封じ込めようとしています。中国に損害を与えますが、中国の科学技術のハイレベルの自立自強の実現を加速させます。米国自身にとっても同盟国にとっても諸刃(もろは)の剣(つるぎ)であり、自分で自分を損害し、最終的には思いどおりの結果にならないでしょう。例えば、米国が5年前から対中国貿易戦争を起こしたにもかかわらず、中米貿易も含む中国の対外貿易額は伸びてきました。米国は同盟国を引っ張り込んで、半導体などの分野で中国への供給を中断すれば、関係企業が中国という世界最大の半導体市場を失うことになるでしょう。また、米国及び同盟国は「台湾独立」分裂勢力を支持・慫慂(しょうよう)しても、中国の国家統一の歴史的プロセスを阻止することはできません。中国は、相互尊重、平和共存、協力ウィンウィンの原則に従って、中米関係を処理します。それと同時に、国の主権、安全及び発展の利益を断固として守り抜きます。

この間、G7広島サミットでは、一連の問題において中国をむやみに中傷し、中国内政への粗暴な干渉を行い、地域の分裂と対立を煽り立てました。九州と日本では、平和を愛する人々がこのような動きに強く反対し、多くの有識者が深い懸念を表しました。

ここで私が思い出したのは、戦後米国政府が同盟国を引きつけ、数多くの戦争を起こし、平和の旗印を掲げて平和を損ない、人権の旗印を掲げて人権を侵害し、民主主義や自由などのきれいごとを語り、人に顔向けできないことを多くやってきました。もし一部の同盟国がひたすら米国に追随し、中国を仮想敵国とみなし、軍拡と戦争準備を加速させていくならば、中国との友好協力関係、地域の安定、戦後秩序に大きな潜在リスクをもたらすことになるでしょう。

最近、私は村山富市(とみいち)元首相を訪ね、二人で村山談話を振り返りました。村山首相は、1995年に日本政府を代表し、発表された談話の中で、「日本は遠くない過去の一時期(いちじき)、国策を誤り、戦争への道を歩んで、国民を存亡の危機におとしいれました。日本による植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して、多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」と述べました。今の時代において、村山談話を守り、過去のような国策の誤りを防ぐことは、重要な現実的意義をもつのではないかと感じております。

中国の民主革命の先駆者である孫文先生は、「世界の潮流はとうとうと流れ、これに従えば栄え、これに逆らえば滅びる」という言葉があります。今の世界の潮流はただ一つあります。それは平和、発展、協力、ウィンウィンです。私たちは、条約締結45周年記念を機に、双方が条約の精神を再確認し、条約の規定を遵守し、義務を履行し、中日4つの政治文書の原則と両国の指導者の共通認識に基づき、「中日は互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」という政治的合意を行動に移すことを希望しています。また、歴史や台湾問題など重大な問題を善処し、各分野での交流と協力を積極的に進め、新しい時代の要請にふさわしい中日関係を構築していくことを心から期待しております。その中で、九州各界の有識者が「民をもって官を促し、経済をもって政治を促し、九州をもって日本全国を促す」という伝統をいかし、中日友好協力関係の発展に新たな貢献をされることを衷心よりお願い申し上げて、私の講演とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。


推荐给朋友
  印刷 全文印刷