共同富裕は、中華民族が悠久の昔から孜孜として追い求めてきた理想であり、何よりも中国共産党が揺るぎなく掲げてきた奮闘目標である。この理念は決して砂上の楼閣ではなく、中国の歴史と実践に根ざしたものであり、かつ新時代において新たな意味を与えられたシステマティックなプロジェクトである。それは発展に関わるだけでなく、何よりも公平に関わる。つまり「パイを大きくする」ことを目指上に「パイを公平に分ける」ことを目標とするのである。
1.歴史的経緯――一貫した初心と使命
中国共産党は結成当初から人民の幸福を図り、人民の共同富裕の実現を初心及び使命としてきた。改革開放後、一部の人々や地域が先に豊かになるのを認めることにより、生産力を極めて大きく解き放ち、発展させたことで、共同富裕の最終的な実現に向けた堅実な物質的基盤を固めたのである。鄧小平氏が述べたように、「社会主義の最大の優位性は共同富裕にある」のだ。
新時代に入り、中国社会の主要な矛盾は「日増しに高まる、より良く生活を求める人民の声」と「発展が不均衡・不十分であること」との矛盾へと転化した。これは「あるかないか」という問題を解決した後には、「十分か不十分か」という問題の解決に力を入れなければならないことを意味する。習近平総書記は「共同富裕は社会主義の本質的要請であり、中国式現代化の重要な特徴である」と深く指摘した。貧困脱却における全面的勝利から農村振興戦略の全面的推進、地域間の協調的発展から公共サービスの均等化に至るまで、一連の戦略的計画が共同富裕へのロードマップを明確に描き出している。
2.生きた実践――ターゲットを絞った貧困者支援から農村振興へのリレー
貧困脱却は、共同富裕へ邁進する重要な一歩である。中国は人類史上、最大規模で最も強力な貧困脱却政策を実施し、農村部の貧困人口1億人近くを全て貧困から脱却させ、人類の貧困削減の歴史における奇跡を創造した。この過程は決して単なる「輸血」ではなく、「造血」を重視したものであった。すなわち、産業の発展、計画的移住、環境補償など多様な手段を通じ、貧困地域と貧困層の内生的原動力を喚起したのである。
貧困からの脱却は終点ではなく、新たな生活と新たな奮闘の起点となる。それに続いて全面的に推進された農村振興戦略は、共同富裕を実現するうえでの必然的要請となった。内蒙古(内モンゴル)の敖魯古雅(オルグヤ)では、政府が定住地や生産設備を提供し、特色ある観光業を支援したことで、古来のトナカイ文化が継承され、遊牧民の生活が日増しに豊かになっている。海南省の大坡村では、胡椒産業が盛んになった後、村人の文化生活も日増しに豊かになり、村内には文化室やブックカフェが設けられている。村民はそこで撮影会や座談会を開くなど、物質的と精神的両面で豊かさを追求している。
これらの事例は、共同富裕が画一的な平均主義ではなく、各地域が現地の状況に適した特色ある産業の発展を奨励し、発展の成果による恩恵をより多くの人々に行き渡らせるものであることを物語っている。
3.多様な原動力――科学技術の力と企業の社会的責任
科学技術は共同富裕に強力な原動力を与えている。湖南省華容県では、ドローンによる精密施肥や農薬散布が大幅に効率を高め、コストを削減している。山東省菏沢市の東頭村では、IoT(モノのインターネット)技術によりブドウ栽培のスマート管理が実現された。貴州省黔東南苗(ミャオ)族侗(トン)族自治州榕江県では、ライブコマースが「新・農具」となり、特産品が山地から全国の市場へと直送されている。科学技術は従来の農業生産のあり方を変えるだけでなく、農家の収入源をも拡大させている。
民間企業は共同富裕を推進する重要な力だ。税収への貢献、イノベーションの促進、雇用の安定化においてかけがえのない役割を果たしている。社会的責任を積極的に果たす企業が増えてきており、「1万社の企業が1万個の村を支援する」行動を通じて農村振興や公益慈善事業に身を投じ、「先に豊かになった者が後を導く」という社会的責任を果たしている。
4.制度的保障――社会保障ネットの強化
充実した社会保障システムは、共同富裕の安定化装置だ。中国は世界最大規模の社会保障システムを完成させ、基本医療保険の加入者は13億5000万人を超える。江西省南昌市の趙勇輝氏は重病で入院したことで20万元近くの費用が発生したが、基本医療保険・大病保険・医療救済など複数の保障制度により、自己負担は大幅に軽減された。各地では低所得層や特別な困難を抱える人々に対して、最低生活保障、一時救済、公益的雇用など複数の措置を講じ、最低限の生活をしっかりと守り、「共同富裕の道において誰一人取り残さない」ことを目指している。
5.世界的意義――世界の貧困削減と発展への貢献
中国の貧困脱却における大成功は、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の貧困削減目標を10年も前倒しで実現したものであり、世界全体の貧困削減への寄与率は70%を超える。中国が模索したターゲットを絞った貧困者支援、産業による貧困者支援、科学技術による貧困者支援等の経験は、他の途上国にとって有益な参考となっている。菌草(食用キノコの栽培として利用できる大型の草本植物)技術の海外普及や「一帯一路」イニシアティブによる共同発展の促進等、中国は自国の共同富裕に尽力すると同時に、常に国際的な貧困削減事業に積極的に参加し、人類運命共同体の構築を推進している。
結びに
共同富裕は長期にわたる極めて困難な任務であり、持続的な奮闘を必要とする。それは単なる経済指標の上昇だけではなく、それ以上に物質文明と精神文明の協調的発展であり、社会的な公平と正義をはっきりと示すものである。黄土高原から雪域高原(チベット高原)へ、東北の平原から江南の水郷へと、一般の人々が、それぞれの奮闘によって共同富裕の生き生きとした物語を紡いでいる。これは14億人の幸せに関わる「壮大な実験」であり、道のりは長くとも方向は明確であり、歩みは確かなものである。中国共産党の指導の下、全人民の知恵と力を結集すれば、共同富裕の美しい未来図は必ずや一歩一歩、現実のものとなっていくだろう。
*一部の素材は『人民中国』より